「山と生きて、山と眠る」中央アルプスを望む自然葬
1999年(平成11年)、国内初となる樹木葬墓苑が岩手県の知勝院で開設されてから20年超。永代供養へのニーズとともに、樹木葬墓苑は日本全国に広がっていきました。
一方で、元々は自然保護や里山の維持を目的としてスタートした樹木葬でしたが、都市部を中心に公園型・ガーデング型が主流となっており、本来の里山型の墓苑は少ないのが現状です。
2019年春に開設された長野県の洞岩寺「樹林葬墓苑」は、中央アルプスを望む里山型の樹木葬墓苑。“山と生きて、山と眠る”をテーマに掲げており、山を愛する皆さまに人気のある墓苑です。
鎌倉時代に創建された歴史ある曹洞宗 洞岩寺によって運営されており、二十五世住職である五十嵐隆光氏が維持管理を行っています。
正面に中央アルプス、眼下に天竜川を一望
以前は荒れていた洞岩寺の裏山を整備して、2019年春に開設された「樹林葬墓苑」。
期限を決めて合葬するのではなく、埋葬された場所で自然と一体になり、永遠に眠ることができる自然葬の形をとっています。にぎわいのある森林をつくり出すことを目標として「樹林葬墓苑」と名付けられました。
墓苑のある丘からは、正面に中央アルプス(木曽山脈)、眼下に天竜川を一望することができます。見晴らしの良い場所にベンチが設置されており、お墓参りに訪れた方や地域で暮らす皆さまの憩いの場所としても活用されているそうです。
鎌倉時代中期に開創された 曹洞宗 長松山洞岩寺
宗派は曹洞宗、永平寺(福井県)と総持寺(神奈川県)を両大本山とする洞岩寺。鎌倉時代中期、鎌倉に建長寺を創建したことで知られる蘭渓道隆(大覚禅師)により開山されました。
戦国時代には、神之峰城主・知久頼康を開基に仰ぎ、頼康公のお墓も洞岩寺にあります。当時、現在「樹林葬墓苑」のある丘に知久氏の出城が建っており、天竜川沿いに進軍してくる武田軍を迎え撃ちました。
武田軍の兵火により伽藍は消失しましたが、江戸時代初期、関昌寺(阿南町)の直心玄朔和尚により寺運を再興。以来400年以上の年月を経て、令和の時代まで法灯を護持しています。墓苑から天竜川を眺めて、歴史に思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。
アクセス情報
洞岩寺のある長野県下伊那郡豊丘村は、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那盆地にあります。
【お車の方】
飯田市中心部(飯田市役所)から約25分(約10km)
松川ICから約25分(約10km)
伊那市役所(中央道経由)から約50分(約39km)
【JRご利用の方】
JR市田駅から徒歩22分
タクシー5分(約1.7km)
※駅前にタクシーは停まっていませんので、見学の際は電話での予約がおすすめです。
参考)北部タクシー有限会社 TEL:0265-35-2062
洞岩寺「樹林葬墓苑」の概要と費用
洞岩寺本堂の東側の丘、標高約600mの場所に開かれた「樹林葬墓苑」。丘のふもとから墓苑の入り口へは舗装した参道が通り、車で乗り入れることが可能です。
中腹から頂上までの苑路と苑内は芝生として整備され、周囲をヒノキ林に囲まれた苑内にはヤマザクラやツツジなどが植えられています。
全部で416区画あり、1区画の大きさは間口1.2m×奥行1.2m。区画は何人でも利用することができ、墓石の代わりに名前を刻んだプレートを置く点が特徴です。
費用
1区画につき一人目のお申し込み 500,000円(非課税※)
内訳:没後三十三回忌までの永代供養料及び永代使用料
管理費、埋葬費、諸経費
二人目以降のお申し込み(1名につき) 200,000円(非課税※)
内訳:没後三十三回忌までの永代供養料及び永代使用料
管理費、埋葬費、諸経費
※上記費用は洞岩寺への布施、寄進にあたります。
ペットの埋葬も可能
洞岩寺では、「人も動物も等しい命」という仏教の考え方から、犬・猫をはじめとしたペットを契約された方と同じ区画に埋葬するこができます。ペットの大きさや、ともに埋葬できる頭数には目安があるため、詳細はお問い合わせくださいとのお話でした。
費用
ペット納骨(一回の埋葬につき) 20,000円(税別)
お一人でも、ご家族でも。宗旨宗派を問わない永代供養墓
洞岩寺「樹林葬墓苑」は、宗旨宗派を問わず利用できます。お一人で眠ることはもちろん、ご家族でも、友人同士でも自由に契約することが可能です。また、基本的に区画に入る人数に制限がないため、従来のお墓のように家の墓としても使えます。
公園型・ガーデニング型の場合、「契約期間が過ぎると合葬墓に合祀されるのが嫌だな」という方もいらっしゃいますが、区画型の自然葬ですので将来に渡って合祀されることはありません。
最後に埋葬された方の33回忌が過ぎた区画は改めて洞岩寺の管理下に入り、2071年以降を目途に墓苑を自然に還していくための措置がとられる点にはご注意ください。
住職自身が墓苑の掃除を行い、観音様の前で読経を日課に
[住職の写真など]
「お墓を持ちたいけれど継承する人がいない」「子供たちに迷惑をかけたくない」という相談を皆さまから受けるなかで、五十嵐住職は永代供養を取り入れた樹木葬に着目して樹林葬墓苑を開設しました。
「墓苑の植栽や清掃を含めて維持管理を私自身が行い、墓苑中央にある観音様の前で読経することを日課としています。自然のなかで安らかに眠っていただきたいという思いがあるからです」と住職は話します。
寺院に併設されているからこそ、万全の維持管理と永代供養を行っていただけるのは有難いと感じました。また、30代の住職に対して「住職が若いから安心して管理を任せられる」と契約された方からは言っていただけるそうです。
中央アルプスを望む、山好きな方に人気の樹木葬
天気のいい日に「樹林葬墓苑」がある丘から中央アルプスを眺めていると、都市に比べて時間がゆったり流れているように感じます。
実際に契約された方からも「日本アルプスにはさんざん登ったから、見渡せる場所がいいなと思って」「“山で眠らせてくれ”が、山を愛した亡父の遺言でしたので」といった声をいただいているそうで、山を愛する人に選ばれている樹木葬であることを実感しました。
見学の最後、住職に墓苑への想いをお聞きしました。「墓苑を掃除していると、お墓参りをされた方が展望台のベンチでお弁当を食べていかれます。普通のお墓では見られない光景ではないでしょうか。残された方たちもここで亡くなられた方の思い出話をしながら、また新しい思い出が生まれていく。そんな場所でありたいと願っています」
洞岩寺の口コミレビュー