グッドデザイン賞を受賞した、美しく開放的な空間
樹木葬を考える際に、自然保護を目的とした緑豊かな里山型・樹林型の樹木葬墓地を選択するか、公園タイプ(ガーデニング型・シンボルツリー型)の樹木葬墓地を選択するかで悩まれる方も多いのではないでしょうか。
今回、訪問した東京都八王子市にある「風の丘樹木葬墓地」は、“都内にありながら自然を感じられる墓地”をめざして2016年に開苑されました。
同苑は、1445年から続く由緒正しい曹洞宗の「白華山 慈眼寺」によって運営されており、JR新宿駅から約40分、JR八王子駅から約10分というアクセスの良さもあり、人気を集めています。
見学では慈眼寺の責任役員であり、「風の丘樹木葬墓地」の管理・販売を行う株式会社 慈光の代表取締役でもある田辺静香氏にご案内いただきました。
大空が広がり、風が吹き抜ける心地よい空間
東京都八王子市の多摩丘陵の一部にある同苑は、「風の丘」という名称が示すように、高台に位置するため見晴らしが良く、心地よい風が吹き抜けています。
約5,700平方メートル(テニスコート22面分)という都内の樹木葬墓地では最大級の敷地中央に、一級建築士の資格を持つ墓地設計家である関野らん氏が設計した墓苑が広がっています。
多摩丘陵という土地柄を生かして、周囲の自然環境に溶け込むようにデザインされた緩やかな地形が特徴で、手前には献花台が設置されています。墓苑の周りを循環する水は常に変化し、様々な表情を見せる人生の象徴なのだそうです。
供花の花の部分だけを献花台に供えることから生まれる美しい風景、地形を生かしたデザイン性の高さなどが評価され、2019年にはグッドデザイン賞を受賞しています。
家制度に縛られない多様なお墓のスタイルを提供していきたい
室町時代から続く、長い歴史を持つ曹洞宗・白華山 慈眼寺には、多くの檀家の皆様がおり、従来の墓石が置かれた墓地も多数管理しているお寺です。一方で、檀家の方などから「うちは子供がいないから、墓地を継ぐ人がいないよ」、「私は家のお墓ではなくて、自然の中で静かに眠りたい」といった相談を受けていたそうです。
日本全国でお墓の後継者問題や墓じまいが話題となる中、家制度に縛られない多様なお墓のスタイルを提供していきたいという思いから、慈眼寺の敷地内に「風の丘樹木葬墓地」が開苑されました。
実際に墓石のある墓地から「風の丘樹木葬墓地」に移動された檀家さんや、故郷の墓地を墓じまいして改葬された方もいらっしゃるとのお話でした。
風の丘アクセス
電車
JR横浜線片倉駅 徒歩7分
JR八王子駅から1駅、横浜方面からもアクセスがいい駅です。
車でのアクセス
中央高速道八王子インター出口より15分
圏央道高尾山インター出口より15分
車でもアクセスしやすいため、契約される方は東京都内だけでなく、神奈川県にお住まいの方も多いそうです。
多摩丘陵の美しい風景の中、土に還っていく
中央に広がる2つの埋葬エリアには、35cm四方の区画が格子状に配置されており、そこには仕切りも、墓石などの目印となるものもありません。
埋葬時には花のリースが供えられますが枯れてくると取り除かれ、その後は時間とともに掘った跡も消えていき、エリア全体の土といっしょになっていきます。
2つの埋葬エリアの中央にある通路の壁面には、契約された方の銘板が並べられています。
献花台の正面付近や通路付近が人気の区画で、「目印がない分、近くでお参りしてもらえる場所がいい」という方が多いとのお話でした。
一方、「人がよく通る場所ではなく、静かな場所で眠りたい」という理由で、奥側の区画を選択される方もいらっしゃるそうです。
ご利用人数、供養年数で選べるプラン
個別使用期間中は骨壺で個別に埋葬され、その後同じ墓苑内の合葬墓へ移り、永代供養となります。
〇お一人様、お二人様向け
ご自身やご夫婦、ごきょうだいで使用していただけるプランです。
1区画【個別供養13年】
1人 54万円~ 2人 70万円~
別途年間管理費7,700円(税込)
1区画【個別供養33年】
1人 74万円~ 2人 90万円~
別途年間管理費7,700円(税込)
〇ご家族向け
個別の区画を並べて使用していただけるご家族向けのプランです。年間管理費は、4名様までお申込みいただける2区画プランで11,000円(税込)、 6名様までお申込みいただける3区画プランで16,500円(税込)必要になります。
2区画【個別供養13年】
3・4名 124万円~
2区画【個別供養33年】
3・4名 158万円~
3区画【個別供養13年】
5・6名 178万円~
3区画【個別供養33年】
5・6名 226万円~
奥まったエリアにある使用期限がない永代供養区画は完売しているため、現在は使用期限のある永代供養区画のみの販売となっています。
宗教・宗派は不問。一周忌などの法要も可能
各プランには、戒名授与、位牌、銘板、埋葬費用、合同供養の費用が含まれており、「プラン内容がわかりやすいので安心できる」という方も多いそうです。また、従前の宗教・宗派は不問ですので、どなたでも安心して申し込めます。費用は別途になりますが、慈眼寺にて四十九日や一周忌などの法要を行える点も好評とのことです。
「当苑は永代供養ではありますが、お彼岸の時期だけではなく、月命日などにもお参りされる方が多いです。中には、毎日のようにお参りに来られる方もいらっしゃって寺離れという言葉も耳にしますが、故人や先祖のことを思うあたたかい気持ちを多くの皆さまが持たれていることをとても嬉しく思います。慈眼寺としても、より皆さんと寄り添える取り組みを進めていきたいと思います」と田辺氏は話します。
歴史あるお寺が管理する安心感
最後に、「風の丘樹木葬墓地」の管理を行う慈眼寺を見学させていただきました。慈眼寺の行事だけでなく、月1回開催されている戒名を授ける授戒式はこちらで行われるそうです。
樹木葬墓地への認知度やニーズが高まる中で、特に都市部では多種多様な墓苑が生まれていますが、やはり歴史あるお寺が管理するという点で安心できることは「風の丘樹木葬墓地」の特徴の一つではないでしょうか。
都心からアクセスも良く、心地よくデザインされた風景が広がる同苑は、「自然の中で土に還っていきたい」という方の思いとともに、「気軽にお参りに行ける場所がいい」とご家族の希望を両立する場所であると感じました。特に春の景色がおすすめとのお話でしたので、ぜひ訪れてみてください。