
近年、「お墓の継承者がいない」「自然に還るようなお墓に入りたい」といった悩みを耳にする機会が増えました。ライフスタイルの変化とともに、お墓に対する価値観も大きく多様化しています。そんな中、神戸市民の間で今、大きな注目を集めているニュースがありました。
それが、神戸市北区の鵯越(ひよどりごえ)霊園に隣接する「ひよどりごえ森林公園」内に新しく誕生した、公営の「樹林葬墓地」です。
2026年3月16日から第1期の使用者募集(同年6月5日まで)がスタートしたということで、「実際の雰囲気はどうなんだろう?」「どんな場所にあるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この新しい樹林葬墓地は、山中の樹林全体を墓所とする自然回帰志向の新しい形です。主に以下のような特徴があり、家族に負担をかけたくないとお考えの方にとって、興味深い選択肢となっています。
- 墓標を持たない:個別の墓石は建てず、樹林そのものを墓所とする。土に直接埋葬するので、一度埋葬してしまうと、ご遺骨を取り出すことは不可能。
- 承継者が不要:1体15万円で、お墓の跡継ぎや、継続的な管理の心配がない。
- 自然への回帰:供用開始から50年後には墓地としての管理を終了し、完全に自然の山林へと還る。
「緑豊かな自然の中で眠りにつけるなんて素敵だな」と思う反面、実際に足を運んでみないと、現地の空気感や実際のアクセスなど、分からないことは多いと思います。
そこで今回は、募集がスタートして話題のこの公営「樹林葬墓地」に、実際に足を運んで現地を視察してきました!
静寂に包まれた森の様子や、鵯越霊園からの道のりなどを、現地の写真とともに詳しくレポートしていきます。
これから新しいお墓のあり方を検討されている方や、樹木葬・自然葬に興味がある方の参考になればと思います。
鵯越霊園を訪問するも「樹林葬墓地」が見つからず迷子に…
新緑が目にまぶしいGWのある日、車を走らせて一路、鵯越霊園に向かう。鵯越霊園を訪問するのは、2度目。以前訪問した時に、なんと広大な霊園だろう、という印象を持っていたので、あの広大な霊園のどこに、樹木葬が出来たのかと想像しながら、霊園に到着。
鵯越霊園の入口にある見取り図の看板を見てみるも、「樹林墓地」らしき表示はない。
あれ?新規オープンなので、まだ看板の表示が間に合っていないのかな・・・。と思いつつ、近くで仏花を販売しているお店があったので、尋ねてみると、なんと分からないと!?

神戸市のHPに掲載されていた「樹林墓地」の地図を見てもらうが、それでもよく分からないとのこと。。そんなことある??と思いつつ、車に戻って、神戸市HPの情報や、Googleマップを調べ直す。
あれ?もしかして、「樹林墓地」は鵯越霊園内にはなく、霊園に隣接する「ひよどりごえ森林公園」にあるのでは?と、しばらく経ってから気づく。
樹木葬とはいえ、お墓であることは間違いないので、鵯越霊園内にあるはずだという自分の先入観がうらめしい。
しかも、隣接する、ひよどりごえ森林公園は、鵯越霊園から徒歩で行ける距離でないようで、車を7、8分ほど走らせて、ようやく辿り着いた。
まさかの「樹林葬墓地」は、鵯越霊園内ではなく、隣接する「ひよどりごえ森林公園」内にあった!
「ひよどりごえ森林公園」の駐車場に無事(?)到着。10数台駐められる広場のような場所。管理する、財団法人の事務所もあるが、今日は祝日でお休み。
ちなみに、ひよどりごえ森林公園は、神戸市北区と同市長田区にかかる丘陵の生活環境保全林であり、面積は53ha。

森林公園の案内看板には、ちゃんと「樹林葬墓地」の表示があってほっとする。
墓地までは、少し歩くようだ。

車止めがあるので、墓地までは徒歩で行くしかないようだ。バリアフリーを謳う霊園も多い中で、一線を画す立地だと思う。

駐車場から「樹林葬墓地」までは徒歩10分のハイキングコース。
てくてくてく。

てくてくてく・・・。

・・・お墓参りというよりもハイキングだ。。今日は、気温が穏やかな5月だけど、お盆やお彼岸の時期にお墓参りすることは結構な体力が必要だな、、と思う。
最後の案内看板を、右に行くか左に行くかで、全く違う場所にたどり着いた。
10分ほど歩いて、軽い汗をかきながらそろそろ「樹林葬墓地」に着くかな?と思っていたら、案内看板が出てきた。

あれ?どっちに行けばいいのかな?
ん・・・?
右行っても、左に行っても「樹林葬墓地」やん。。

左が階段を使うルートで、右がスロープのルートなのかな?
結論から言いますと、右と左で、同じ樹林葬墓地の場所には、たどり着かず。。
(右に行けば、樹林葬墓地を上から見下ろす場所に着き、左に行けば、樹林葬墓地を下から見上げる場所に着く)
【右のコース】たぶん推奨されているルート。樹林葬墓地を上から臨むルート。
舗装された道から墓域を見下ろすので、こちらが一般的な墓参のルートだと思う。ただ、樹林葬墓地との距離があるので、間近でお参りしたいという人は左のコースがお勧め。

(木々が生い茂った先に見える白っぽい地面が、樹林葬墓地)
【左のコース】階段を下って、樹林葬墓地の下に着くルート。
ニュース画像で見る、木々がうっそうと茂った樹木葬の墓域にたどり着くので、樹林葬墓地を間近に感じられる。
但し、途中の階段は結構急で、整備されているとはいえ、山の中なので、私は途中で、たくさんの虫と、ヘビにも出くわす。。
このルートを行く方は、長袖長ズボンのハイキング的な服装をお勧め。


「樹林葬墓地」は想像を超えた山の中にあった。

実際の樹林葬墓地は、木々が生い茂る山の中にありました。森の中に1,200haの墓域を確保して、埋葬するスペースを造ったよう。

初年度の募集は、80体で人気により抽選が予想されていますが、約20年間で1,600体を埋める予定で、募集が終了した後は、その後30年かけて自然の山林に戻す計画のよう。
1体15万円で継承不要ですので、以後の管理費など不要。ご遺骨は粉状(パウダー状)にし、直接土と混ぜて埋蔵することで、自然分解を促進させる方法で、埋葬場所については、好きな場所を選べる訳ではなく、樹林エリア内に一定の間隔を設けて順番に埋蔵されていく仕組み。
最後に、展望台から望む景色に癒されながら樹木葬を考える。
墓域の見学を終えたあと、樹林葬墓地から歩いて5分くらいの場所に展望台があるということで行ってみたところ、神戸市街と瀬戸内海を臨む、息を呑むような絶景ポイント。

さて、神戸市が手掛けた政令指定都市初の「樹林葬墓地」を訪問して思ったことは、
ガーデニング的な箱庭のような樹木葬が日本中に増えている中で、
「本来の樹木葬とはこうあるべきでないか?」というコンセプトを元にした樹木葬を、
公営霊園が実際に造り出したことに大きな意味があるように思う。
「自然」とは豊かだが、時に過酷で過酷なもの。
利便性を追求してきた都市で住む我々が安易に、
「自然が多いお墓がいいな。でも、アクセスがしやすい場所がいい、お墓参りもしやすくバリアフリーで・・・」と望みますが、この樹林葬墓地は、樹木葬とはそんな利便性を優先するだけで良いでしょうか?と、問われているようだった。
【樹林葬墓地の概要と特徴のまとめ】
・所在地と立地
神戸市北区の「ひよどりごえ森林公園」内(鵯越霊園に隣接)に整備された公営墓地。
・政令指定都市で初
墓石を建てない自然回帰志向の樹林葬墓地を自治体が整備・運用するのは、政令指定都市として初めての試み。
・個別の墓標を持たない
個別の墓石や特定の樹木を墓標とすることはせず、設定された樹林エリア全体を墓所とする形。
・自然に還りやすい埋蔵方法
ご遺骨は粉状(パウダー状)にし、直接土と混ぜて埋蔵することで、自然分解を促進。
・承継者や維持費が不要
お墓の跡継ぎ(承継者)を必要とせず、埋蔵後の継続的な管理費など不要。
・計画的な埋蔵スケジュール
好きな場所を指定するのではなく、樹林エリア内に一定の間隔を設けて順番に埋蔵されていく仕組み。
・規模と受け入れ予定数
墓域面積は約1,200平方メートル。20年間で約1,600体(1年あたり80体ペース)の埋蔵を予定。
・50年かけて完全に自然へ戻す
20年間の供用(埋蔵)期間ののち、30年間かけて自然遷移させ、50年後には墓地としての管理を終えて完全に山林へ戻す。
・遺骨保持者の申込要件
「神戸市に6ヶ月以上在住し遺骨を持っている方」または「生前神戸市民だった方の遺骨を持っている方」などが対象。
・生前申込み・改葬にも対応
神戸市に6ヶ月以上在住している「65歳以上の方」であれば、ご自身の生前申込みが可能なほか、現在市立墓園にあるお墓からの「改葬(お墓の引っ越し)」にも対応。
・参考リンク
樹林葬墓地の場所としては、神戸市のパンフレット、これが一番分かりやすい!
https://www.city.kobe.lg.jp/documents/71756/ri-furetto.pdf
新しいお墓のかたち(神戸市)
https://www.city.kobe.lg.jp/a60186/newgrave.html









