増えてきている散骨のカタチ
「散骨」と聞くと、多くの人が、海へ撒く海洋散骨を思い浮かべるかもしれません。しかし近年、静かに注目を集めているのが、海ではなく、「土や森に還る」という選択肢です。
- 「冷たい海よりも、温かい土の上で眠りたい」
- 「木々の一部となり、風景に溶け込むように還りたい」
そんな想いを持つ方に向けて、森林など自然豊かな陸地で、散骨、あるいは散骨に近い方法で故人を見送れる場所が、少しずつ増えてきています。
解説:散骨について、もう少し詳しく
散骨とは、遺骨を細かく粉砕し、海や山などの自然に還すこと。多くの方が、そのようなイメージを持っていると思います。
しかし実際には、「どこに、どのように還すのか」という点において、散骨にはいくつかの重要なポイントがあります。
① 美しい場所であり、きちんと管理されていること
散骨に限らず、弔いにおいて大切なのは、「遺骨を撒くこと」そのものではありません。
故人をお還しする場所が、以下の条件を満たしているかが重要です。
- 自然として美しく、安全が確保されている
- 荒れた山や放置された土地ではない
- 人の目と手が入り、風景として大切にされている
② 行政の許可・ガイドラインに沿っていること
現在は厚生労働省がガイドラインを示しており、それに沿った運営が求められます。
- ガイドラインに基づいた運営か
- もしくは、墓地としての経営許可を得ているか
これらを確認できることが、安心できる散骨先を選ぶ大きな判断材料になります。
③ 匿名性が保たれていること
散骨では「自然の一部として同化している」状態が重視されるため、墓碑や個人を示す目印は設けられません。名を刻さず、場所を占有せず、風景の中に溶け込む。これが散骨と墓地をわけるポイントでもあります。
樹木葬入門がセレクトする散骨
散骨について調べ始めると、「どこか怪しいのではないか……」と不安を感じることも少なくありません。「樹木葬入門」では、そうした皆さまのご心配に向き合い、安心して託せる「確かな選択肢」をセレクトしてご紹介しています。
海に浮かぶ、安息の無人島
【島根県・隠岐】カズラ島 — 自然散骨の島

| 名称 | 自然散骨 大山隠岐国立公園 カズラ島 散骨場 |
| 住所 | 島根県隠岐郡海士町福井847-1(運営所在地) |
| 公式サイト | https://www.kazurajima.jp/ |
| 運営者 | 戸田葬祭サービス株式会社 カズラ事業部 |
- 「海」と「土」の融合:島という環境でありながら、遺骨は島の土に還す。
- 島全体が慰霊地:散骨後は自生植物が芽吹き、島そのものが自然の墓標になる。
- 永続的な自然:無人島のため、開発や移転の心配がない。
向いている人:静寂と象徴性を求める方、海の雰囲気が好きだが土に還りたい方
参加して森を育てる、再生の物語
【岩手県・遠野】ハヤチネンダ — いのちを還す森

| 名称 | 埋葬プロジェクト「いのちを還す森」 |
| 所在地 | 岩手県遠野市広葉樹林の森(里山) |
| 公式サイト | https://hayachinenda.org/ |
| 営主体 | 一般財団法人 ハヤチネンダ |
- 森づくりへの参加:会員として森の手入れに参加でき、生前から自然と関われる。
- 墓標を持たない自然回帰:遺骨は粉末化し、土と同化して森へ帰る。
- 里山再生:死後、森を育てることで環境保全に貢献できる。
向いている人:環境保護を重視する方、生前から場所との関わりを持ちたい方
公営墓地による自然回帰型埋葬
【兵庫県・神戸】2026年供用開始予定 — 神戸市ひよどりごえ森林公園内

| 名称 | 神戸市立墓園 樹林葬墓地(予定) |
| 所在地 | 兵庫県神戸市北区ひよどり台 |
| 公式情報 | 神戸市HP 樹林葬墓地整備概要 |
| 運用開始 | 2026年(令和8年)頃予定 |
- 公営の安心感:神戸市の整備方針に基づいた透明性の高い運営。
- アクセスの良さ:都市近郊の森林公園内にあり、日常的に自然を感じられる。
- 自然への回帰:50年かけてエリア全体を自然山林に戻す計画。
向いている人:公的な管理を重視する方、家族への継承負担を抑えたい方
「森」か「島」か「公営の森」か(各地の散骨の比較表)
| 特徴 | カズラ島 | ハヤチネンダ | 神戸・樹林葬墓地 |
|---|---|---|---|
| タイプ | 秘境型・象徴性 | 循環型・参加型 | 公営・自然回帰 |
| 自然体感 | 島・海風景 | 里山(森) | 森林公園 |
| 埋葬方法 | 土壌散骨 | 土と同化 | 土と同化 |
| 管理形態 | 島全域管理 | 民間プロジェクト | 公営管理 |
| 向いてる人 | ロマン重視 | 環境重視 | 透明性・安心重視 |
自然に還る、という新しい絆のカタチ
「散骨」や「樹木葬」という選択は、単に遺骨を埋葬することではありません。それは、大切な人の命が豊かな自然の一部となり、新しい生命を育む風景へと溶け込んでいく、美しい物語の始まりでもあります 。
今回ご紹介した3つの場所は、それぞれ異なる背景を持ちながらも、「故人を自然の循環の中へと送り出す」という共通の願いを叶えてくれる場所です。
- カズラ島(島根県):海と土が融合する無人島で、永遠の静寂とロマンに包まれたい方へ 。
- ハヤチネンダ(岩手県):生前から森づくりに参加し、里山再生という未来への貢献を望む方へ 。
- 神戸・樹林葬墓地(兵庫県):公営の安心感とともに、都市に近い森で穏やかに眠りたい方へ 。
大切なのは、形式に縛られることではなく、ご自身やご家族が「ここで眠りたい」「ここに会いに来たい」と思える景色に出会うことです。









