ヨーロッパの中でも自然豊かな国として知られるスイスですが、樹木葬を盛んに行っている国としても有名です。
そして日本でも樹木葬を行っていますが、スイスとその方法が違います。
では、スイスの樹木葬と日本の樹木葬の違う点とは具体的に何でしょう。
そもそも樹木葬とは?
〇樹木葬とは
お亡くなりになった方の遺骨をシンボルとなる樹木や花の周りに埋葬し、墓標の代わりにすることを言います。
日本では、2000年代に入り雑誌やテレビで積極的に「終活」が取り上げられるようになりそれに伴い樹木葬が浸透してきました。
まだ歴史はそこまで長くないですが、男女問わず急速に広がりを見せています。
そして、樹木葬はお亡くなりになった方を自然に還らせてあげたいという考え方から行っています。
日本では近年、死者は自然に還るという考えが広まっているため樹木葬がどんどん普及している要因となっています。
またスイスも同じような考え方で、亡くなったら自然豊かな場所で眠りたいと願っている方が多いので、盛んになっているのです。
日本とスイスの樹木葬の異なる点とは?
では、樹木葬におけるスイスと日本の異なる点とは一体何なのでしょう。
それは主に4つあります。
① 場所が違う
まずスイスの樹木葬は主に森林で行われます。
つまり森林全体を樹木葬専用の墓地にすることで、その木の周りに埋葬するという方法です。
また、これはスイスのみならずドイツなどヨーロッパ各国で行われています。
さらに、スイスの樹木葬が行われている森林は、昔からある森林をそのまま利用しているため自由に歩き回ることができます。
ですから、樹木葬を行ったお墓に来る方々は亡くなった方を弔う遺族や関係者だけではありません。
例えば、運動がてらに森林にウォーキングに来る方や自然を楽しむためにハイキングに来る方などが樹木葬を行ったお墓の敷地内を散策している光景もかなり多いです。
それに対して、日本の樹木葬は人工的に人の手によって整備されている里山や霊園内に設置された専用の区画で行われます。
また、日本の場合は樹木葬が行われている里山や霊園内の区画は原則立ち入り禁止又は遺族や関係者のみしか出入りできないところがほとんどです。
これは遺骨の上をむやみに歩かないようにするための配慮を行うことで、お墓を綺麗に保つためです。
② 墓標の有無
墓標とは墓地がどこにあるかを示している目印のようなものです。
これにより、亡くなった方がどこに埋葬されているのか分かるようになっています。
そして、日本の場合だと石でできた柱や木を加工した棒などを墓標に使用することがほとんどです。
また目印という事で頑丈な作りのものが多く、強い雨や風などに耐えられるようになっています。
しかしスイスでは、樹木葬が行われたお墓においては墓標が存在しないだけでなく、墓の周りにある囲い(フェンスなど)も全くありません。
なぜなら、森林の自然や美しさを守るためにそのような人工的な建造物を置くことを禁じているからです。
しかし、それだと亡くなった方がどこに葬られているのか分からなくなってしまいます。
そこで、ほとんどのケースは木の幹や枝に名前が書いてある札を結んでいます。
こうすることで、どこに亡くなった方が眠っているのかを知ることができるのです。
③埋葬する長さも異なる
まず、日本の樹木葬での埋葬する期間に関してはところによって違いますが主に13回忌(13年)から長くて30年くらいのところが多いです。
この長さは墓地の管理の関係で決められており、長期間に亘って埋葬してくれるところはほとんどありません。
そしてスイスの樹木葬では埋葬期間にバラつきがありますが、その長さは60年から80年くらいが一般的となっています。
また中には100年近く埋葬を保証してくれるところもありかなり長い間、埋葬しておくことが可能です。
なぜ、ここまで長くできるのかというと遺灰を森林の墓地に埋葬することでそれが栄養豊富な肥料となり、最終的に森林環境を良くすることに繋がるからです。
一般的にスイスのお墓の埋葬期間は25年と言われているので、長く埋葬したいと考えている方にとって樹木葬はかなり魅力的だと言えます。
④スイスでは人工的な草花の設置を禁止!
まず、日本の樹木葬では樹木の周りに人工的に色々な種類の草や花を植えることが多いです。
主に芝や桜など色彩豊かなものがほとんどです。
これは墓地の景観を少しでも美しくするために行っています。
こうすることでとても清潔感あふれる墓地になります。
それに対してスイスの樹木葬は、森林の自然や景観をそのまま大事にするという目的があるので人工的に草や花は一切植えません。
こうして、できるだけ手を加えないように配慮することで森林の保全を行っています。
色々な違いがある!
同じ樹木葬と言っても、国ごとに違いがあることが分かります。
もし樹木葬を検討している方がいましたら、しっかりこのような違いを理解しておくといいでしょう。