近年、新しい埋葬方法として注目されている「樹木葬」

樹木葬だけじゃない!様々な自然葬

    

さまざまな自然葬従来の墓石の元に埋める埋葬方法よりも費用を安く抑えられることなどから、ここ数年、ブームとなっている樹木葬ですが、樹木葬とはいわゆる「自然葬」の1つです。
自然葬には、樹木葬のほかに海洋散骨や山林散骨などがあります。
海洋散骨はその名の通り、海に遺骨や遺灰を戻す方法で、山林散骨は山林に遺骨や遺灰を撒く葬送方法のことです。
散骨や樹木葬だけでなく、古来より世界各地で行われてきた鳥葬や風葬、水葬、土葬なども、広い意味では、自然葬となります。
日本における自然葬という言葉は、もともとは民俗学者の五来重が提唱したもので、人の手をあまりかけない葬送方法のことを指していました。
しかし、今は、「自然回帰」、つまり墓標を用いずに、海や山などの自然に遺骨や遺灰を還すことによって地球の広大な自然の循環の中に回帰していく、という考え方がそのベースになっています。
自然葬という言葉は今やすっかり定着し、広辞苑や大辞林といった国語辞典にも掲載されるようになっています。

昔は自然葬が一般的だった?!

散骨などの自然葬は海外では一般的で、ライシャワー元米駐日大使、インドのネール元首相、中国の周恩来元首相、フランスの俳優のジャン・ギャバンなどは、故人の生前の意思によって散骨されています。
ただし、散骨された人の中には、故人の遺志ではなく、ナチスドイツのアイヒマンや東条英機などの戦犯のように、その墓標が崇拝者たちの聖地にならないように散骨されたケースもあります。
日本でも古来には、遺体や遺灰を海や山や野に還すことが多かったようです。
平安時代の淳和天皇は「骨を砕いて粉と為し、之を山中に散らすべし」という遺言を残し、大原野西院に散骨されています。
また、鎌倉時代の僧で浄土真宗宗祖の親鸞聖人も、「それがし閉眼せば、加茂川に入れて魚にあたうべし」と言い残しています。
庶民も墓地を設けて先祖の供養をするようになったのは、日本では江戸中期、近世以降と言われています。
戦後、日本では長らく自然葬は違法と考えられてきました。
1948年に「墓地、埋葬等に関する法律」が制定されました。
これによって散骨は一般的には違法行為と見なされるようになりました。
さらに、散骨が刑法190条の規定する「遺骨遺棄罪」に該当しないかも議論されてきました。
法務省の非公式な見解では、違法性はないとのこと。
しかし、あくまで非公式の見解であって散骨容認ではなく、節度をもって行われない散骨によるトラブルも実際に起こっています。
海洋散骨も、どこの海域でも行えるというわけではなく、海洋散骨が許可されている海域のみで行わなければならないので注意が必要となってきますね。
山林の場合には、勝手に散骨したことによって住民トラブルも多く起きているので、必ずきちんとした業者や団体に頼むことが重要です。

自然葬が人気のワケ

自然葬は、「自然への回帰」といった故人の思いを叶えるためだけではなく、里山などの環境を造成や人工物の設置から守るためという、自然保護の観点などから生まれました。
西欧では環境保護的観点から自然葬を選ぶ人も多いようです。
昨今、日本でも自然葬を望む人たちが多くなってきましたが、それは、上記の「自然回帰」「自然保護」といった理由だけでなく、核家族化や少子化などの社会的な背景が大きな要因になっています。
少子高齢社会の現在、墓参りや墓を管理してくれる親族がいない人も多くなってきています。
なので、墓参はもとより、墓地の維持・管理の必要がない自然葬は、そうした跡継ぎ、継承者がいないシニア層から支持を受けているのです。
しかも、一般の墓地の購入とくらべて、購入費用が格段に安く抑えられること、一代限りなので相続不要なのもメリットの1つです。
そして、もう一点、夫や姑、舅と一緒のお墓に入りたくないという女性も増えています。
従来型の墓では家単位で埋葬されることも多いので、そういう理由から自然葬を希望する人もいるようです。

自然葬は遺骨や遺灰を取り戻すことはできない

ただ、自然葬を希望する場合には、きちんと身内の人には相談することが大事です。
誰にも相談しないことで、トラブルになるケースも多くあります。
そこで、自然葬を選択した場合に注意したい点を紹介します。
まず、自然葬の場合には、一般的なお墓とは違い基本的には遺骨は取り戻せません。
ここが従来のお墓との一番の違いです。
樹木葬でも基本は土に還るように埋葬するので、同じです。
遺骨を埋蔵する従来型のお墓とは異なり、引っ越しによって家から遠くなったからと言って、お墓を移転する「改葬」はできません。
遺骨が取り戻せないので改葬が不可能なことは、必ず身内に周知しておきましょう。
しかも、自然葬の中でも散骨の場合には、墓自体がないので、墓参自体ができなくなることも確認しておきましょう。
今、自然葬の支持者は増えつつありますが、まだ一般的ではないため、自然葬を希望する場合には、家族とよく相談したほうが良さそうですね。