近年、新しい埋葬方法として注目されている「樹木葬」

樹木葬とよく似た桜葬について

    

樹木葬とよく似た桜葬について

 

樹木葬の中に、桜葬というものがあります。
文字通り、桜を墓標の代わりに植える埋葬方法です。
日本において、桜は古来より特別な花です。
ぱっと咲き、さっと散るその儚さや潔さが、日本人の好みに合致しています。

 

 

「花」といえば「桜」

奈良時代は和歌で「花」といえば梅のことでしたが、平安時代以降、桜の人気が高まって、「花」というと桜を指すようになります。
平安時代の歌人・紀友則の「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花ぞ散るらむ」の「花」は桜のことです。
俳句でも花は桜のことを指し、春の季語ですね。
1598年、かの豊臣秀吉が現在、世界遺産でもある京都の醍醐寺で開催した「醍醐の花見」は有名ですよね。
なんと、この花見の宴のために、近隣諸国から700本の桜を移植して、どんちゃん騒ぎを行ったとか。
この「醍醐の花見」が現在の花見のルーツとも言われています。
毎年、桜の開花予報、開花速報はメディアを賑わしていますね。
他の花では考えられないほどです。
日本では多くの公的機関で桜をシンボルとして使っています。
1967年以降、今でも遣われている百円硬貨の表は桜のデザインですが、それも納得ですね。

樹木葬の始まりは里山の保全から

近年、桜葬をはじめ樹木葬がとても人気になっています。
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や花を墓標として植えて、その下の地中に直接あるいはさらしに包んだり、土で分解される壺に入れて遺骨を埋葬する葬送法です。
同じ自然葬でも遺骨、遺灰を撒く散骨とは違い遺骨を埋めるので、「墓地、埋葬等に関する法律」に基づいた、墓所と認められた土地でなければ行えません。
遺骨を骨壷に入れて納骨する墓に埋葬する従来型の方法と違い、樹木葬などの自然葬は自然に還ることができるので、自然回帰志向の人や、環境志向の人の支持を集めています。
日本で樹木葬が初めて行われたのは1999年、岩手県の祥雲寺で生まれました。
当時話題になっていた散骨に影響を受けて始めたそうです。
祥雲寺が樹木葬を始めた目的の1つは、里山の再生と保護。
荒廃しつつあった近隣の里山を再生し、豊かな山の環境を守っていくために、造成もせず、墓石などの人工物を作らないので自然環境に影響を与えない上に、経済的基盤を持つことができる樹木葬を始めたそうです。
こうした樹木葬は「里山型樹木葬」と呼ばれています。
樹木葬のやり方は、遺骨を埋葬するたびに1本の苗木を植える方式、墓地の中央に樹木を植え、その周辺に多くの遺骨を埋葬する方式、の2つがあります。
さらに後者は、樹下のプレート(名板)に名前を刻む形の埋葬のほか、散骨と同様に遺骨を粉末化したうえで、一人ひとりの名前を刻むことなく埋めるタイプの埋葬に分かれます。
場所もさまざま。
祥雲寺と同じく、地方のお寺等が所有する山林を墓地として登録し、そこを樹木葬に使うという「里山型樹木葬」。
都市近郊で、敷地の一部または全部を樹木葬の区画にあてるのが「都市型樹木葬」です。
最近開発された墓地のほとんどには、公営墓地でも民営でも、樹木葬のための区域が設定されています。
都市型では、2012年には都立で初めて東京都立小平霊園が樹木葬の希望者の募集を開始したところ、多くの都民がこれに応募しました。
応募倍率が16倍を超えたとのことです。
人気が高いと言われる都立霊園ですが、一般墓地の倍率は7~5倍ほどなので、どれだけ樹木葬の人気が高いのかがわかりますね。

「桜葬」がますます広がりを見せて行っている

こうした樹木葬が広がっていくきっかけの1つが、NPOエンディングセンターの始めた「桜葬」と公営霊園の樹木葬サービスの提供でした。
こちらは、上記の祥雲寺のような「里山型樹木葬」ではなく「都市型樹木葬」です。
エンディングセンターは1990年に尊厳ある死、そして葬送を考慮する市民団体として設立されました。
上記の祥雲寺の樹木葬に触発され、会員の希望を叶えるため、日本発となる初めての桜葬墓地を設立。
現在、東京都と大阪府に桜葬墓苑を運営しています。
桜葬墓地は、桜の下にたくさんの遺体を埋葬するもので、1つのブロックに最大で10人まで埋蔵が行えるようになっています。
これはなかなかの大きさだと言えますね。
また、名前などを刻むことができるプレートがあり、墓参もできます。
このエンディングセンターの「桜葬」は大きな反響を呼びました。
特に、「桜の木の基に眠る」というコンセプトが日本人好みだったことから、今、全国各地に桜をシンボルツリーとした樹木葬が生まれています。
桜葬がなぜ人気なのか、お分かりになりましたか。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」という有名なフレーズは、梶井基次郎の『櫻の樹の下には』の冒頭部分です。
このように、小説でもたびたび語られるぐらい桜は愛されています。
なので、可能なら、桜の下で永遠に眠りたいと思う人は少なくないでしょう。
桜葬は樹木葬の主流になるかもしれませんね。