樹木葬という埋葬方法に人々の関心が集まっています。
しかしこれは日本に限ったことではなく、すでにヨーロッパでは行われていて、徐々にその埋葬方法が広がりつつあります。
ではなぜこの樹木葬という埋葬方法に関心が集まるようになったのでしょうか。
そこでここでは選ばれ始めた理由について解説していきます。
樹木葬に関心のある方はぜひご一読ください。
樹木葬が注目された一番の理由は価値観の多様化
日本が代々受け継いできたお墓を継承するという考え方が、最近ではなくなってきました。
これは家族制度があったときは必要な制度でしたが、そのような考え方が亡くなった核家族では、長男がお墓を守るという価値観や家長制度自体が崩壊しています。
もちろん今でもしっかりお墓を継ぐ方はいますが、その一方で個を大切にする考え方にシフトしてきたので、葬儀やお墓についても違う考えがでてきました。
中でも価値観の多様化という部分が大きく、樹木葬や納骨堂といった新しい埋葬方法が支持されるようになりました。
これは日本でも21世紀になって、今まではほとんど変わらないと言われてきた埋葬方式に新たに樹木葬などの選択肢が増えたということです。
価値観の多様化によって世の中に受け入れられるようになりました。
現実的な問題としてお墓の継承者がいない
お墓を継ぐ人がいない
少子高齢化ということでお墓を実際に継ぐ人がいないという現実があります。
また本当にお墓を継ぐことを必要としないという考え方もあります。
伝統的に長男がお墓を守るという考え方が減ってきたということもあります。
管理がしにくい
そして、地域と密着していた墓石の伝統的なお墓は管理がしにくいというデメリットがあります。
郷里に帰らないとお墓のお参りもできない、しかももう親戚一同は都会に移り住んでいるといった場合です。
また最近ではお子さんがいない家庭というのもあります。
そして子供がいてもお墓の面倒をかけるのがかわいそうだ、という意識の方も増えています。
どうせならお参りに行きやすいお墓で自分たちが暮らしている近くにあったほうが楽だという考え方にシフトしてきたというのも本当の理由でしょう。
好きな人や好きなペットと一緒にできれば眠りたい
日本は従来伝統的なお墓というと家単位になっていました。
墓石にはそれが証拠に〇〇家の墓といったように刻まれていることが多いはずです。
そしてお嫁さんも嫁ぎ先のお墓に入るというのは当然のことでした。
ところが最近では夫亡き後、離婚しているという女性もあり(亡くなった後に夫の実家と関係を断つということ)、同じお墓に入りたくないという女性もいます。
昔は世間体があったのでそのようなことは許されませんでした。
ところが樹木葬というスタイルが出て、永代供養が付いているお墓の登場でその流れが一変しました。
つまり個人を単位としたお墓が登場し、好きな人や自分が愛したペットと一緒に埋葬してほしいという願いもかなうようになったということです。
亡くなってから、家族という枠にとらわれたくない、縛られたくないという気持ちを持った方もこの方法なら自由に埋葬されるということでしょう。
埋葬まで自由になったということです。
経済事情がありお墓に高額のお金をかけられない
日本経済はバブル以降、あまり良い状態でないことがしばらく続いていました。
国民すべてがお金で苦労しているということではありませんが、バブル以前の高度成長期とは違う流れになっているのは確かです。
また最近は景気が良くなったといっても、長い間お財布の紐を締め続けてきた家庭にとっては、お墓一基200万円と言われてらどう考えるでしょうか。
これはお墓にお金をかけたくないということだけでなく葬儀にも同じことが言えます。
最近では家族葬という葬儀も出てきて、従来の平均的葬儀190万円という相場からは相当安い葬儀に人気が集まっています。
これも時代の流れということでしょう。
最後の最後にまで家族に負担をかけてまでお墓にはお金をかけたくない
できればお金をかけないで残された家族のために使ってほしい
という気持ち多くなっているといえます。
そして家や宗教にとらわれることなく、自分らしい場所で静かに眠りたいというのが現代人に増えています。
最終的には緑や自然に還りたい
最近の傾向としては考え方の多様化という側面をお話しましたが、現実的には都心部の墓地の不足という問題もあります。
地方ではお墓が無縁になり潰すというケースも増えているのに、都市部ではお墓がむしろ不足しています。
そんな中、樹木葬という方法が出現したことは現代人のニーズに合っています。
それは安いということだけでなく、最終的には土に還るという気持ちに応えることができるからです。
亡くなった後も、
・環境保全に役に立つ
・緑に囲まれて眠りたい
・安らかに眠れるなら墓石はいらない
という気持ちが高まっています。
そして何よりも、子供たちや親族がいるなら、いつでもお参りしてもらえるという身近な環境が良いという人が多いようです。