その1 お墓の種類として、樹木葬のさらなるシェアUPが予想される
株式会社鎌倉新書が発表した2018年の調査報告書(第10回お墓の消費者全国実態調査 霊園・墓地・墓石選びの最新動向)によると、購入を検討しているお墓の種類で、樹木葬が37.3%と、一般墓の34.1%を上回り、1位となりました。この傾向は2020年もより一層、進むのではないかと予想されます。
報告書によりますと、検討ではなく、実際に購入したお墓の種類では、一般墓41.2%に対して、樹木葬37.3%でしたので、実際に求めたお墓としては一般墓を求めた人が一番多かったという結果になりました。
各霊園で、樹木葬区画が増えていることからも、実際に求めたお墓の種類でも樹木葬が1位になる日もそう遠くないように思えます。
参考
【第10回】お墓の消費者全国実態調査(2018年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向 株式会社鎌倉新書
https://www.e-ohaka.com/guide/research/survey_2018/
その2 樹木葬の淘汰がはじまる?
民間霊園で樹木葬区画のない霊園はもう数が少ないのではと思えるほど、民間霊園内に樹木葬区画があることが当たり前になっています。一方、一般墓であれば、和型・洋型などの違いはあるものの、どこの霊園でもその様式は似ています。これが、樹木葬となると、まるっきり異なるという場合があります。
北海道大学の上田裕文准教授は、樹木葬を、里山型、樹林型、ガーデニング型、シンボルツリー型という4つのタイプに分類をしていますが、ガーデニング型と呼ばれる樹木葬では、一見すると一般墓とあまり違わないような墓域を、樹木葬と名称を付けたような樹木葬も存在しています。
2020年には、樹木葬人気に乗じて造られた樹木葬は選ばれなくなり淘汰されていく・・・、そんな動きも出てくるのではないかと考えます。
その3 樹木葬の自然回帰が起こる
先にご紹介した「その2 樹木葬の淘汰がはじまる?」では、樹木葬の淘汰を予想しましたが、呼応するように、2020年は樹木葬の原点回帰が起こることも予想されます。
1999年に岩手県の一関のお寺で初めて行われた樹木葬は、1人1本の木を植えて埋葬するまさに言葉が持つイメージどおりの「樹木葬」でした。その後、都市部で樹木葬が広がるにつれ、1人が1本、樹木を植えるようなスペースの確保はほぼ不可能ということもあり、都市にあった樹木葬が模索されてきました。
ところがその傾向が行き過ぎて、樹木葬と呼びながら、お骨を納めるカロートを設置して石版を載せて、墓域の周りに少し植樹しただけという、一見すると一般墓と変わらないような樹木葬も多くみられるようになり、「樹木葬ってこんなものなのか。それなら同じ費用を払うなら一般墓を選ぼうか」というような声も出てきています。
都市の事情に合わせたうえで、「樹木葬」本来が持つ自然回帰と、次の世代に伝えていく理念を感じることのできる樹木葬を選ぶという、原点回帰の動きが2020年以降起こってくるのではと予想しています。
写真は日本初の樹木葬を行った岩手県の知勝院より